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オーバーヒートには後遺症がある⁉オーバーヒートの原因から症状を解説!
2023年10月10日
皆さんは、自動車のオーバーヒートを経験したことはありますか?
オーバーヒートが発生すると、自動車の心臓部であるエンジンに多大な影響を及ぼします。
また、オーバーヒート発生後にも後遺症として、エンジンに影響を与え続ける可能性を否定できません。
そこで今回は、オーバーヒートの後遺症をエンジンの仕組みを交えながら解説します。
オーバーヒートとは?
オーバーヒートとは、エンジンの内部を流れるクーラント液や潤滑油の温度が上昇し、エンジン本体および内部に流れる流体が適正な温度を保てなくなる状態を指します。
また、オーバーヒートを一度起こすと、エンジンの回転部や摺動部などの内部機構に影響を及ぼしている可能性が考えられます。
したがって、オーバーヒートを起こした時には、自動車修理工場などに診断を依頼する必要があると言えるでしょう。
オーバーヒートの原因が後遺症にもつながる⁉
前項では、オーバーヒートの概要や後遺症の可能性を紹介しました。
また、オーバーヒートの後遺症を知るためには、オーバーヒートの原因をエンジンの仕組みから理解する必要があります。
そこで本項では、オーバーヒートの原因の1つである冷却システムのトラブルとオーバーヒートの後遺症を解説します。
冷却システムの役割や後遺症を教えて!
エンジンの冷却システムは、クーラント液を流すことによりエンジン内部および潤滑油を冷却する役割を持ちます。
以下は、エンジンにおけるクーラント液の大まかな流れを示します。
1.ウォーターポンプ
2.エンジン内部
3.ラジエーター
4.サーモスタット
エンジンの冷却システムは、ウォータポンプによりエンジン内部にクーラント液を流し、エンジンを冷却します。
そして、エンジンの熱を受けたクーラント液をラジエーターで冷やし、循環させる仕組みです。
また、サーモスタットはクーラント液の温度によって開閉する仕組みをしており、温度が低い場合はウォータポンプにそのまま戻し、温度が高くなるとラジエーターへと送ります。
したがって、ウォーターポンプやラジエーターが詰まったり、サーモスタットが経年劣化により故障したりすると、水の温度が上昇しオーバーヒートに至ることがわかります。
オーバーヒートにおける冷却システムの後遺症
オーバーヒートにおける冷却システムの後遺症は、配管ラインおよびシール部品の劣化です。
クーラント液が流れる配管ラインやシール部品には樹脂製の素材が多く使用されており、それらは許容温度を越える熱を受けると著しく劣化が進む傾向があります。
すると、配管ラインや継ぎ目にあるシール部品の強度が弱くなり、後にクーラント液が漏れ出すトラブルにつながります。
その結果、エンジン内部のクーラント液が不足し、冷却機能が低下するため再びオーバーヒートを起こす危険性を否定できません。
冷却システムのトラブルは潤滑油にも影響する⁉
冷却システムにトラブルが起こると、潤滑油にも大きな影響を与えます。
エンジンの潤滑油は自身の粘度によって油膜を形成し、さまざまな機構をスムーズに動かす助けをしています。
したがって、冷却システムのトラブルにより潤滑油が適正な温度を保てなくなると、潤滑油の粘度が低下し、油切れを起こす可能性を否定できません。
本項では、潤滑油システムが引き起こすトラブルを潤滑油の役割から解説します。
潤滑油システムの役割を教えて!
エンジンの潤滑油は、主に以下の2つの役割を持ちます。
1.回転部および摺動部の潤滑
潤滑油は、オイルタンクからオイルポンプを使ってエンジンの出力軸であるクランクシャフトやシリンダー(ピストンが入っている筒)などに運ばれます。
そして、クランクシャフトと軸受けの間やピストンとシリンダーの間などに潤滑油が入り、摩擦力を軽減させる役割です。
また、ピストンとシリンダー間の潤滑油は密封の役割も果たしており、燃焼する空間の圧縮ガスや燃焼ガスの漏れを防ぐ一助となっています。
2.エンジン内部を冷却
潤滑油は、クーラント液が入り込めない軸受け部の冷却の役割も果たします。
代表例は、ピストンとクランクシャフトを繋ぐコンロッドと呼ばれる部品の冷却です。
コンロッドは、エンジンの運転中に莫大な回数の動作を繰り返しており、摩擦による発熱は避けられません。
しかしながら、潤滑も同時に行う必要があり、クーラント液による冷却は困難です。
したがって、コンロッドは潤滑油を用いて、潤滑および冷却を同時に行なうことで上記の問題を解決しています。
以上より、油切れや漏れを起こして潤滑油の役割を果たせなくなると、エンジンの各機構における熱や摩擦が多くなるため、エンジンそのもののトラブルにつながります。
潤滑油システムのトラブルによる後遺症
潤滑油システムにトラブルが起きると、回転部や摺動部の焼き付きにつながります。
回転部の軸受けやシリンダーに焼き付きが起こると、接触面の滑らかさを著しく低下させるため、エンジンの機能低下は避けられません。
特にシリンダーには、ホーニング加工と呼ばれる筋状の加工が施されており、シリンダー内における潤滑油を保持する役割を果たしています。
焼き付きによりホーニング加工が失われると、シリンダー内に潤滑油が保持できなくなり、焼き付きの悪化に加えて、燃焼ガスや圧縮ガスがエンジン内部に混入するトラブルを引き起こします。
また、エンジンには上記の他にもさまざまな回転機構や摺動部が存在します。
したがって、潤滑油システムのトラブルはエンジンそのものの故障につながるリスクを否定できません。
以上より、オーバーヒートの後遺症は冷却システムのみの故障からエンジン全体における故障に至るまでさまざまな危険性を持つことがわかります。
オーバーヒートを起こした時は自動車修理工場に診断を依頼しよう!
今回は、オーバーヒートの後遺症をエンジンの仕組みを交えながら解説しました。
オーバーヒートは、冷却システムからエンジン全体における故障を引き起こす可能性を否定できません。
したがって、オーバーヒートを起こした時には、自動車修理工場による診断が必須と言えるでしょう。
本記事が、オーバーヒート発生時の一助となれば幸いです。