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夏場に気を付けたいラジエーターと冷却水

2023年07月31日

古いコメディー映画では、自動車の故障するシーンといえばパンクかオーバーヒートでした。

エンジンルームから湯気が立ち上り、動かなくなったくるまのラジエーターに水を足す様子が定番となっていました。

今ではあまり見かけなくなりましたが、エンジンで走る今の自動車でも起こりうることです。ではなぜオーバーヒートは起こるのでしょうか?

また、オーバーヒートの予防にはどんなメインテナンスが必要でしょうか。

夏場に気を付けたいラジエーターと冷却水

ラジエーターって何?

エンジンが搭載されたほとんどの自動車では、エンジンを冷却するために冷却水が使われています。

冷却水はエンジンを冷却する代わりに冷却水自体が熱を帯びるため、循環させて常に冷えた状態に戻す機能が必要です。

その熱くなった冷却水を冷やすのがラジエーターです。ラジエーターはフロントグリルの中に装備され、冷却水が通過するパイプがたくさんあり、パイプの隙間をファンで起こした風や、走行による風が吹き抜けて冷やす仕組みです。

冷却水とは

冷却水はクーラント液とも呼ばれ、エンジン内部を循環してエンジンが高温になるのを防ぎます。

水をベースにした液体ですが、冬場の凍結を防ぎ、エンジンやラジエーターに錆びを発生させない、寿命が長いなどの特性を持ったLLC(ロングライフクーラント)液が使われています。

それぞれの特性により赤、緑、青、ピンクに着色されています。

オーバーヒート

ラジエーターに不具合があり、クーラント液が充分に冷却できずに高温のまま循環するとエンジンが冷却されず、オーバーヒートを起こします。

またクーラントがどこからか漏れて必要な液量に不足した場合にも同様にオーバーヒートとなります。

自動車のメーター部には水温計か、水温警告灯があり、それらがオーバーヒート状態であることを示します。

オーバーヒートになったら

オーバーヒートの表示が示されたら、直ちに自動車を安全な場所に停め、状況を確認します。

安全な場所とは他車や歩行者の通行を妨げず、燃えやすいものが周囲に無いところとなります。

このときエンジンは止めずに、ボンネットを開けてラジエーターに風を送る冷却ファンが回っているか、またはエンジンルーム内や、路面にクーラント液が漏れていないか確認します。

もしこれらの症状が見られたら直ちにエンジンを止めてください。それ以外の場合は冷却水を循環させるためにエンジンは掛けたまま、ボンネットを開けた状態でエンジンの温度が下がるのを待ちます。

ボンネット内は高温になっていますのでやけどに充分に注意して下さい。

ラジエーターの故障

もしもオーバーヒートが起こったら、ラジエーターの故障を疑ってみます。以下に故障の例を3つ挙げてみます。

ラジエーターの損傷

めったに起こりませんがラジエーターは熱伝導の良いアルミ合金などの柔らかい素材で出来ているため、走行中に飛び石などが当たって変形することがあります。

また、冷却水が不足したまま走行を続けると、ラジエーターや配管が高温となりそれがダメージとなり、ラジエーターの故障につながります。

ラジエーターキャップ

ラジエーターの上部についているラジエーターキャップは、ラジエーター内の圧力が高くなった時に圧力を逃がす弁の役目がありますが、劣化により機能が損なわれたとき、またはキャップがしっかり閉められていないと、そこから冷却水が漏れて冷却水の不足につながります。

ラジエーターの配管

ラジエーターとエンジンをつなぐラジエーターホースが劣化して、継手や、ホース自体から冷却水漏れが起きているかもしれません。

冷却水の量を常にチェックするとともに、自動車に乗る前に駐車場の床面に、クーラント液が垂れていないか見てみましょう。

冷却水の交換、補充

冷却水の不足や劣化はオーバーヒートの原因のひとつです。どのようにチェックしたらよいでしょうか。また交換するにはどんな手順が必要でしょうか。

冷却水の量を確認する

冷却水の量を確認するには、エンジンルーム内にあるリザーバータンクに見える液面の高さで判断します。

リザーバータンクには目安となる目盛りがあり、LOW, MIN、などと書かれた目盛りより液面が高いことを確認して、もしも下回っているならば冷却水の補充が必要です。

冷却水が不足している場合は今使っているクーラント液と同じ成分の液を補充しますが、緊急の場合は水道水も使用できます。

リザーバータンクはウィンドウォッシャー液タンクとよく似ているので、自動車の取扱説明書を確認してください。

冷却水を交換する

冷却水をすべて交換するには、エンジンオイルの交換と同様にエンジンルームの下にもぐり排水栓を開けて液を抜き取ります。

廃液は作業廃棄物となり一般ごみと分けて処分します。もちろん下水などに直接流すのは厳禁です。

これらの事を考えると、自動車整備工場やカーショップへ依頼することをお勧めします。

まとめ

気温が高い日に自動車を走らせる時にはエンジンのオーバーヒートが気になります。普段から冷却水のチェックをし、少ないと感じたらクーラント液を補充しましょう。

もし減り方が速いと感じた場合には、ラジエーターの故障かもしれません、自動車整備工場でチェックしてもらいましょう。